月60時間超の時間外労働の割増賃金率引き上げへの対応のポイント

中小企業において、2023年4月1日から、月60時間を超える時間外労働の

割増賃金率が引き上げられました。(大企業は2010年4月から適用)

実務的な対応におけるポイントをまとめましたので、ご確認ください。

 

月60時間を超える時間外労働の 割増賃金率が引き上げられます(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/content/000930914.pdf

ポイント1:60時間超の時間のみが割増率50%に引き上げ

割増率50%の対象となる時間外労働は、月60時間を超えた時間のみです。

つまり、60時間を超えたとしても60時間以下の部分の割増率は25%で構いません。

給与計算では、時間外労働を60時間を境に、異なる割増率で計算する必要があります。

 

また、時間外労働の時間数には、法定外休日労働の時間数も含まれますので、ご注意ください。

60時間超割増率

ポイント2:自社の割増率を規定し、従業員に周知する

労働基準法では、月60時間を超える法定時間外労働に対しては、使用者は50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならないと規定されています。

 

つまり、法律では"50%以上"となっていますので、60%や70%でも構いません。

 

しかし、60時間超の割増率は50%とする企業が大半かと思われますので、従業員に誤解されないよう、就業規則等に定めたり、周知することが求められます。

 

ポイント3:月額変更に該当しないか確認する

時間外手当の支払額の変動は固定的賃金の変動ではなく、月額変更(随時改定)の要件には該当しませんが、今回の法改正に伴う割増率の変更は、支給単価の変更となり、月額変更(随時改定)の対象となりますので、注意が必要です。

 

具体的には、「対象となる3ヵ月のうち1カ月でも60時間超の割増賃金が支給」され、「変動前の標準報酬月額との間に2等級以上の差」及び「各月の支払い基礎日数が17日以上」ある場合、月額変更届(随時改定)の対象となります。

 

給与が末締め翌月20日支払いの会社であれば、5/20、6/20、7/20支払い給与で月額変更に該当しないか確認が必要になります。