年金制度改正法の施行により2022年4月から年金制度が変更になります。
変更は下記の6点です。
① 繰下げ受給の上限年齢引上げ
② 繰上げ受給の減額率の見直し
③ 在職老齢年金制度の見直し
④ 加給年金の支給停止規定の見直し
⑤ 在職定時改定の導入
⑥ 国民年金手帳の基礎年金番号通知書への切替え
・老齢年金の繰下げ受給の上限年齢引上げ
老齢年金の受給開始時期は、自身の希望により受給開始時期を繰り上げ、または繰り下げすることができますが、改正により、繰り下げ(受給時期を遅らせる)の上限年齢が75歳に引き上げられます。(繰り上げ年齢は60歳のまま変更ありません。)
《現行》
繰り下げの上限年齢:70歳
増額率の上限:42%(60月)
《改正後》
繰り下げの上限年齢:75歳
増額率の上限:84%(120月)
対象者:昭和27年4月2日以降生まれの方
受給権発生日が平成29年4月1日以降の方
令和4年4月から老齢年金の繰下げ受給の上限年齢が75歳に引き上げられます
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2022/0228.files/kurisage.pdf
・老齢年金の繰上げ減額率の見直し
老齢年金の受給開始時期を繰り上げた(受給時期を早める)場合、年金額は繰上げ請求をした月から65歳到達月の前月までの月数によって減額されますが、その減額率が引き下げになります。
繰り上げ受給は60歳から可能です。
《現行》
1か月あたりの減額率:0.5%
最大減額率:30%(60か月分)
《改正後》
1か月あたりの減額率:0.4%
最大減額率:24%(60か月分)
・在職老齢年金制度の見直し
65歳未満の方の在職老齢年金制度は、総報酬⽉額相当額と⽼齢厚⽣年⾦の基本⽉額の合計が「28万円」を超えない場合は年金額の支給停止は行われず、「28万円」を上回る場合は年金額の全部または一部について支給停止されます。
この「28万円」が、改正により「47万円」に緩和されます。
《改正後》
・基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円以下のとき
→支給停止額=0円(全額支給)
・基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円を超えるとき
→支給停止額=(総報酬月額相当額+基本月額-47万円)×1/2×12
※⽤語の説明
・基本⽉額
加給年⾦額を除いた特別⽀給の⽼齢厚⽣(退職共済)年⾦の⽉額
・総報酬⽉額相当額
(その⽉の標準報酬⽉額)+(その⽉以前1年間の標準賞与額の合計)÷12
・加給年金の支給停止規定の見直し
厚⽣年⾦保険の被保険者期間が20年以上ある⽅に、65歳到達時点(または定額部分⽀給開始年齢に到達した時点)で⽣計を維持している配偶者または⼦がいるとき、自身の年金に加給年金が加算されます。
その加給年金の支給停止基準が下記の通り変更となります。
《現行》
・配偶者の老齢(退職)年金が全額停止のとき → 支給
・一部でも支給されているとき → 支給停止
《改正後》
配偶者の老齢(退職)年金の支給状態にかかわらず受給権利がある場合、支給停止
・在職定時改定の導入
老齢厚生年金の受給権者が厚生年金保険の被保険者となった場合、65歳以降の被保険者期間は資格喪失時(退職時・70 歳到達時)にのみ年金額が改定されます仕組みとなっていますが、改正により、在職中であっても年金額を毎年10月分から改定されるようになります。
対象者となるのは65歳以上70歳未満の老齢厚生年金の受給者です。
・国民年金手帳が基礎年金番号通知書へ変更
令和4年4月1日以降、国民年金制度または被⽤者年金制度に初めて加入する方には、「基礎年金番号通知書」が発行されます。
すでに年金手帳をお持ちの方には、「基礎年金番号通知書」は発行されません。
年金手帳の紛失等により令和4年4月1日以降に再発行を希望される場合は、年金手帳に代わり、「基礎年金番号通知書」の再交付を申請することができます。
令和4年4月から年金手帳は基礎年金番号通知書に変わります
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2022/0228.files/tetilyou_0224.pdf