コロナウイルスの感染や感染防止のため従業員を休ませる場合の休業手当や給付について

(2022年11月29日更新)

 

万が一、従業員が新型コロナウイルスに感染した場合や濃厚接触者となるなど感染が疑われる場合の休業手当の支払い、給付について解説いたします。

 

主に下記の3つのケース又は混合のケースへの対応が求められますが、どのように対応すれば良いか判断が難しい場合は、畠山労務管理事務所へご相談ください。

 

【対応すべき主なケース】

① 新型コロナウイルスに感染して休むケース

② 濃厚接触者となり、休むケース

③ 子供や孫が感染、又は休校となり、その世話のために休むケース

 

 

今後、法改正等により、取り扱いが変わる場合がありますので、ご了承ください。

 

① コロナウイルスに感染した従業員を休ませるケース

従業員が新型コロナウイルスに感染していることが確認された場合は、感染症法に基づき、都道府県知事の就業制限や入院の勧告等に従うこととなります。

 

感染した従業員への賃金の支払いについては、就業規則等で特別なルールが無い限り、休業手当(平均賃金の60%以上)等を支払う義務はありませんので、原則、欠勤(無給)となります。

従業員が社会保険に加入している場合は、傷病手当金を申請できます

また、手続きの簡略化により、医師の証明や申立書は不要となりました。

 

 

社会保険被保険者でない国民健康保険の加入者で、新型コロナウイルス感染症に感染または発熱等の症状によりその疑いがあるため、就労できないために、給与が支給されない期間がある等の要件を満たした場合は、国民健康保険から傷病手当が支給されます。

ただし、これは特例の制度であり、適用期限がありますので、詳しくは各市町村のHPや窓口にお問い合わせください。

 

また、業務に起因して感染したと認められた場合は労災保険給付の対象となります。

 

今後、新型コロナウイルスが、感染症法の区分において、季節性インフルエンザと同じ5類感染症に指定されれば、法的な休業制限は無くなり、事業主の指示により感染した従業員を休業させた場合は休業手当の支払いが必要になることが予想されます。区分等の変更があれば、取り扱いについて確認をおこなってください。

 

傷病手当金が申請できるケース

コロナウイルス 傷病手当金
コロナウイルス 傷病手当金2
コロナウイルス 傷病手当金3

 

病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)(協会けんぽ)

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3040/r139/

 

労災保険の対象となるケース

■感染経路が業務によることが明らかな場合

■感染経路が不明の場合でも、感染リスクが高い業務(※)に従事し、それにより感染した蓋然性が強い場合

※(例1)複数の感染者が確認された労働環境下での業務

※(例2)顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下の業務

■医師・看護師や介護の業務に従事される方々については、 業務外で感染したことが明らかな場合を除き、原則として対象

■症状が持続し(罹患後症状があり)、療養等が必要と認められる場合も保険給付の対象

 

 

リーフレット「業務によって感染した場合、 労災保険給付の対象となります」(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/content/000698300.pdf

 

② コロナウイルスの感染が疑われる従業員を休ませるケース

新型コロナウイルスの濃厚接触者や感染が疑われる従業員を、感染防止のため、事業主の指示によって休ませる場合は、一般的に「使用者の責めに帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。

この場合、一定要件に該当すると、雇用調整助成金により支払った休業手当の全部又は一部が会社に対して支給されます。

(現在の雇用調整助成金の特例制度の内容のため、今後、要件が変わる場合があります。最新の情報をご確認ください。)

 

 

濃厚接触者(陰性)となった従業員が保健所より外出自粛等を求められたことにより休業させる場合も、保健所の求めに法的強制力はありませんので、会社が最終的に指示した休業となり通常、休業手当の支払いが必要になります。

 

事業主の指示によらず、従業員が自ら休んだ場合は欠勤となりますが、年次有給休暇を利用することもできますので、残日数がある場合、事業主は従業員に利用の意向を確認して頂ければと思います。

 

また、コロナウイルスに感染していなかった場合でも、発熱等で4日以上休業し、労務不能と認められ、賃金支払いが無い場合、社会保険被保険者であれば、傷病手当を申請できます。

 

04-03 従業員に新型コロナウイルスの感染者が出た場合、助成金の対象になりますか。

○ 事業所内に新型コロナウイルスの感染者が発生し、感染拡大防止の観点から、事業主が自主的に休業等を行った場合、感染者以外の者の休業手当は雇用調整助成金の対象となりますが、患者本人の休業手当は雇用調整助成金の対象外となります。

 

雇用調整助成金FAQ(令和3年8月6日現在版)より

 

 

雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html#procedure

 

③ 従業員が休校やコロナウイルスに感染した子供の世話のため、休むケース

子どもがコロナウイルスに感染したため小学校や保育園を休んだり、感染拡大防止等のために小学校等が休みとなったことにより、親である従業員が子どもの世話のために仕事を休む場合、通常、従業員の希望により、欠勤か年次有給休暇の利用を選択してもらうことになりますが、年次有給休暇とは別の有給休暇を与えるという方法もあります。

 

令和5年3月31日までに年次有給休暇とは別の有給休暇を従業員に与え、その他の要件も満たした場合、「小学校休業等対応助成金」を申請することで、会社に対し、支払った賃金に相当する助成金が支給されます。

 

詳しい制度内容、申請方法につきましては、下記の厚生労働省のサイトをご確認頂くか、畠山労務管理事務所へご相談ください。

 

 

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金について(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_00002.html