労働時間の適切な把握方法、自社にぴったりなタイムレコーダーの選び方も!

 労働者を雇用する場合に必須となる労働時間管理ですが、長時間労働防止等の観点から、より正確性を求められるようになっています。

 一方で、労働時間管理が曖昧になっていたり、正確に把握するのは困難だと思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 そこで、当ページでは法律で求められている労働時間管理の方法と、主なタイムレコーダーのタイプをご紹介しますので、労働時間管理の適正化、効率化に役立てて頂ければ幸いです。

労働時間の適切な把握、管理について

 201941日より労働安全衛生法には、長時間労働者1を対象とする面接指導を実施するために、事業主が労働者の労働時間の状況を把握しなければならないという責務が明記されました。この改正により、労働時間を把握しなかったことによって直接的に罰則が与えられるものではありませんが、把握を怠るといつの間にか36協定違反をしている・正しい残業代の支払いができない・過重労働により労働者が健康障害を発症する可能性がある、など様々な問題が起こる可能性があります。

 事業主は、労働安全衛生法あるいは労働契約上、労働者の健康確保のための措置や配慮を行う立場にある点も踏まえて、労働者ごとに労働時間の状況を把握し、適切に管理を行う必要があります。

 

※1 時間外・休日労働時間が1か月当たり80時間を超えている方のこと

 

働き方改革
働く方の状況に応じた時間管理を目指しましょう

対象労働者の範囲

 対象者は、みなし労働時間制が適用される労働者・管理監督者などを含むすべての労働者です。みなし労働時間制が適用される労働者とは、①事業場外で労働するために直行・直帰する場合に客観的に労働時間を把握する手段がない場合(現場工事など)、②裁量労働制※2が適用される者のことを言います。

 管理監督者とは役職名を問わず、労働条件の決定、その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者のことを言います。下記に基づく判断基準にすべて該当した場合に、管理監督者に該当する可能性があります。

 

① 労働時間・休息・休日に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内

  容・責任・権限を有していること

② 労働時間について厳格な管理・規制がされていないこと

③ 賃金・賞与などにおいて一般労働者と比較して相応の待遇がなされていること

④ 採用・人事考課・労働時間の管理に関する責任・権限を実質的に有していること

  

※2 労使協定あるいは労使委員会で定めた対象となる業務で、使用者の具体的な指示が困難、または、しないものに就かせたとき、あらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度のこと

 

把握すべき労働時間とは

労働時間
労働時間とは?

 労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことで、使用者の明示的または黙示的指示により、業務を行う時間が該当します。判断基準は労働者の行為を客観的に見たとき、その行為が事業主から義務付けられたものといえるか否かです。以下のような例は労働時間に該当します。

 

① 参加することが業務上義務付けられている研修・教育訓練の受講

② 事業主の指示により必要な学習などを行っていた時間

③ 事業主の指示により、業務に必要な準備行為(制服の着替え・朝礼等)、業務終了後の業務に関連した後始末(清掃等)を行った時間

④ 使用者の指示があった場合には即時に業務を行うことが求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機している時間(手待時間のことです。)

 

 上記のような時間も含めた労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録する必要があります。これらをもとに労働時間の把握を行います。

 

労働時間の把握と記録の保管

  把握のためには、原則、「①使用者が直接始業時間・終業時間を確認すること」「②タイムレコーダー、パソコンの使用時間の記録などの客観的な記録を用いること」が必要です。②の基本情報をもとに必要に応じて残業命令書、使用者が労働者の労働時間を算出するために有している記録と突き合わせて確認したうえで賃金台帳に記録を行います。また、元の記録と賃金台帳は、3年間保存しなければなりません。

 賃金台帳に記録する項目は①労働日数、②労働時間数、③時間外労働時間数、④休日労働時間数、⑤深夜労働時間数、の全5項目です。これらの事項を記入していない場合や、故意に虚偽の記録を記入した場合は、罰則の対象となります。

 記録から労働時間管理上の問題点の把握をし、解決策を検討することが大切です。 

 

客観的な記録方法

 主な記録方法には、紙の出勤簿やエクセルでの作成や、タイムレコーダー、パソコンの使用時間によるもの等があります。自社の状況によって最適な労働時間管理方法を選択することになりますが、労働者の自己申告のみで労働時間管理を行う方法は、正確な記録・申告がされない恐れがあります。もし、正確な情報でない場合には、記録上は守られているようでも実際には36協定の上限※3を超えて労働を行っている可能性も出てきますので、随時、使用者が正確に労働時間が記録されているか、確認をおこなうことが必要です。

 それでは、次は客観的な記録方法として多くの事業所で用いられているタイムレコーダ-について、主なタイプをご紹介いたします。

 

※3

▼一般条項のみの36協定のとき

 時間外労働のみの時間で1か月45時間かつ、1年360時間を超えると罰則の対象になる場合があります。

▼特別条項付きの36協定のとき

1.時間外労働のみの時間で1年間を通して720時間を超えて働かせた   

2.1か月100時間以上、または、2~6か月中で1か月の平均をとったときに80時間を超える(どちらも時間外労働・休日労働を含む)

3.時間外労働のみの時間で月45時間を超えた回数が年6回を超えている

1~3に該当すると罰則の対象になる場合があります。

タイムレコーダー

タイムレコーダーとタイムカード
集計機能付きタイムレコーダー

 客観的な記録方法の一つであるタイムレコーダーは、業種にとらわれることなく運用ができ、自動集計機能付きや事業所内でも打刻できるものなど様々なタイプがあります。自社の働き方やニーズによって最適なものを選ぶことで、労働時間把握の労力を減らし、正確な労働時間管理をおこないやすくなります。

 主な6つのタイプのタイムレコーダーのメリット・デメリット・費用の目安をご紹介いたします。なお、費用の情報はR2.11時点のものです。

 

①紙に打刻のみをするタイプ

 出退勤の時刻を打刻するのみのタイムレコーダーで、最もシンプルな機能のものとなります。タイムレコーダー・従業員のタイムカード・打刻用インクを用意するだけで運用ができます。

▼メリット

・タイムカードをタイムレコーダーに挿入するだけなので誰でも使用できる

・使用人数制限がない(②・③・⑤以外が該当します)

▼デメリット

・打刻のみの機能の為、集計作業は手作業で行う必要があるためミスが発生する可能性がある

・毎月タイムカードを準備する必要がある(①~③)

・本人以外の方がタイムカードを使用できる環境だと、人のものを誤って打刻してしまったなど不正打刻が行われる可能性がある(①~③が該当)

▼費用

タイムレコーダー代:10,000円~

タイムカード代(300枚セット):3,500円~

インク代:1,500円~

 

②紙に打刻し、自動集計をするタイプ

 ①の機能に集計機能がついているタイプで、集計ルールがシンプルな項目に限り、月

ごとに自動集計ができます。集計機能のタイムレコーダーを準備すれば他に用意するも

のは①と同じです。

▼メリット

・①のタイムレコーダーと似たような予算で運用することができる

▼デメリット 

・使用可能人数が、50名・100名程度など限りがあるので従業員数が多いと、1台では対応できないときがある

⇒②以降全て該当しますが、機種によって人数制限に大幅な差があります

▼費用

タイムレコーダー代:25,000円~

タイムカード代(300枚セット):3,500円~ 

インク代:1,500円~

 

③紙に打刻し、データ出力ができるタイプ

 USBなどを介してエクセル形式、CSV形式で取り込み、パソコンで時間・時給など煩雑

な作業を行うことができます。用意するものはパソコン(インターネットに繋がってい

なくても良い)、(付属になければUSBUSBケーブル・SDカードなど)、従業員のタイ

ムカード、打刻用インクです。

▼メリット

・データを手入力しなくて済むので負担が軽くなる

・パソコンで集計・編集作業が行えるため、1.大人数でも素早く計算ができる、2.ミスが少なくなる、3.データで管理するため保管スペースが不必要になる、など利点が多い

▼デメリット

・ファイルが分かれていると、年や月を超えての抽出や集計に手間がかかる

▼費用

タイムレコーダー代:31,000円~

USB(64GB):1,500円~

タイムカード代(300枚セット):3,500円~

インク代:1,500円~

 

④ICカードを用いて打刻を行うタイプ

 タイムカードではなく、ICカードを用いて打刻を行うタイムレコーダーです。ICカー

ドは交通機関の汎用ICカードや、社員証・入館証(ICの規格が一致していることが条

件)でも利用可能です。用意するものは、パソコン(インターネットに繋がっていなく

ても良い)、必要に応じてICカード・USBケーブル等です。

▼メリット

・従業員11枚のICカードで記録をつけるので、月ごとにタイムカードを更新する必要

もない

・勤怠をリアルタイムで管理することができる(④以降全て)

▼デメリット

ICカードが必要になるため初期費用が高くなる場合がある

・持ち歩いたりしたときにICカードを忘れたり紛失する可能性がある

▼費用

タイムレコーダー代:4,000円~

ICカード(10枚セット)代:6,500円~

USBケーブル:1,500円~

 

⑤生体認証を用いて打刻するタイプ

 顔・指紋によって個人を識別して打刻を行うタイムレコーダーです。紙・ICカードと比べてなりすましをほぼ防ぐことができます。用意するものはパソコン(インターネットに繋がっていなくても可)、USBケーブル等(必要であれば)のみになります。

▼メリット

・なりすましを防げるので、不正打刻がなくなる(⑥も同様)

・紛失するものがないので、管理の負担が軽減できる

 ・データで記録を保管するので、保管スペースが必要ない(⑥も同様)

▼デメリット

 ・指紋認証によるものの場合、指の傷・乾燥によっては認証できないときがある

 ⇒指静脈などを組み合わせて認証するタイプなら問題はあまりありませんが、その分高額になります。

 ▼費用

タイムレコーダー代:30,000円~

USBポート:1,500円~

 

 

⑥クラウドを用いるタイプ

  PCやスマートフォンなどの端末を使用して打刻を行うタイムレコーダーで、記録はクラウド※4に保管されることが特徴です。パスワードを設定することができるので、セキュリティーが高い点が特徴です。こちらも用意するものはパソコンのみです。ただし、⑥を使用する場合のパソコンのみ、インターネットに繋がっていることが必要です。 

※4 インターネットに接続可能なパソコンなどの端末を通して、インターネット上に必要な分だけ情報を保存・管理することができるサービスのことです。

 

▼メリット

・端末を使用し、インターネットを介して打刻をするので、社内でなくとも打刻ができる

・企業で情報を管理するより、様々な管理・セキュリティー対策が施してあるクラウド管理事業者に委託することで、安全安心に情報を管理できる、また、天災などでパソコンの使用ができなくなってもインターネット上に管理されているため、バックアップの不安がないなどメリットが多い

・④、⑤の機能に加えて利用できる機種がある

▼デメリット

・端末の故障・通信回線の障害により機能しないときがある

・初期費用に加えて、月額で料金を支払う必要がある(⑥のみ)

▼費用

一人当たり月額200円~

 

それぞれのタイムレコーダーの特長

 利用人数や、打刻方法などのポイントを表にまとめましたので、こちらもご参照ください。

 

タイムレコーダーの機能についての比較表
タイムレコーダーの機能についての比較表

どのタイムレコーダーが良いか迷っている方へ

 上記6種類でどのようなものが自社に合っているのか作成した簡単なフロー表にて、ご参考にしていただければ幸いです。

自社にあったタイムレコーダーを選択するために
自社にあったタイムレコーダーを選択するために

最後に

 客観的な記録方法についてご紹介しましたが、どのような方法を選択するかは、自社の勤怠に関する問題やニーズを明確化した上で、それぞれの製品の特長を把握し、選択することが重要です。

 タイムレコーダーの選択など労働時間の管理方法や規定作成など、お悩みがございましたら、畠山労務管理事務所までご相談ください。